2003.12.24
風邪や気管支炎、肺炎など人間に呼吸器(肺・気管支)感染する病原微生物を大きく分けると、下記のようになります。
1・ウィルス
急性上気道炎(かぜ症候群)(発熱、咽頭痛、鼻水、くしゃみ、咳などの症状)を起こす原因の80-90%がウィルスによるものです。主なものは10種類ほどといわれていますが、冬はインフルエンザA・B・RS(respiratorysyncytiaI)ウイルス、夏はコクサッキー、エコーウィルス、エンテロウィルス、通年型としてはパラインフルエンザ、アデノウイルスなどが多く、季節とはあまり関係のないものとしてライノウィルス、コロナウィルスがあります。ただ、わずかな例外を除き、現在のところウィルス感染症に有効な薬剤は実用化されていません。一般状態の良い成人では、2~3日寝ていれば自然治癒します。
つまり、卵酒でも飲んでいれば治るという訳です。
2・細菌
細菌独特の細胞壁をもち、放置すると重症な気管支炎、肺炎となります。現在、
呼吸器感染症の治療に汎用されている抗生物質であるペニシリン薬やセフェム剤はこの細胞壁に特異的に作用するので、人体への副作用が少なく、治療できます。
ただ抗生物質に耐性をもつ菌も漸増しています。
3・マイコプラズマ・クラミジア・レジオネラ
発熱、痰のでない咳嗽がひどく、炎症反応(CRP )が高値なのに、白血球増多がそれほどでもない場合、マイコプラズマやクラミジアを考えます。なかでもマイコプラズマは学齢期の子供の扁桃炎や気管支炎、肺炎の原因になるばかりか、重症例では呼吸不全や胸水貯留となるケースも少なくありません。以前は4年周期で流行していましたが、最近では毎年散発しており、若年者の肺炎の過半数を占めています。
周囲への感染性も強いです。治癒が長引く代わりに、進行が遅いという特徴があります。
またマイコプラズマは細菌と違い、細胞壁を持たないため、治療に汎用されている抗生物質であるペニシリンやセフェム剤が無効で、特殊な抗生物質(テトラサイクリン・マクロライド・ニューキノロン薬)でないと効果がありません。
4・真菌(カビ)
免疫が低下した状態でかかりやすい。抗真菌剤があるも副作用あり。
5・寄生虫
以前は多かったのですが。現在は非常に少ないです。ただ北海道では、エヒノコックスという寄生虫があり(キツネや犬に寄生し人間に感染する)、肝臓に寄生し、肝臓を破壊して死亡に至ることがあります。従って、北キツネはみためにはかわいいですが、触らないほうが賢明です。
また季節柄,インフルエンザウィルスについても簡単にお知らせいたします。
1・インフルエンザウィルス以外のウィルス
かぜ症候群(発熱・咽頭痛・鼻水・くしゃみ・咳などの症状)”を起こすが、
2・3日寝ていれば自然治癒します。
2・インフルエンザウィルス
38~40℃台の発熱が3~4日間続き、鼻水・くしゃみ・咳などよりも、関節痛・筋肉痛などの全身症状が著明で、老人や乳幼児では死亡する例があります。
ワクチンが効果あります。