2005.08.01
風邪(多くは、ウイルスによる)による咳は、通常1週間位で治ってしまうはずです。
それ以上咳が続く場合、風邪以外の病気を考えます。例えば 、
1・気管支喘息
大気環境の悪化や密閉された室内環境のため、アレルギーの病気が激増しており、
アレルギー性の気管支喘息も増えています。咳は朝方、夜中に多く、日中は改善
するのが特徴です。また息苦しい、ゼイゼイする場合があります。肺機能検査で
吐く息の量の低下があると喘息の診断となります。継続して治療しなければ年と
ともに肺機能が低下します。
2・細菌性肺炎
咳とともに、黄色い痰や熱がでます。胸の写真で異常な影が出たら、肺炎の診断
となります。ほおっておくと命とりとなりますが、現代では、細菌に良く効く薬
(抗生物質)があり、きちんと治療すればこわくありません。
3・肺結核
昔の日本で猛威をふるっていましたが、特効薬が出たため、正確な診断をして、
治療すれば治る病気です。しかし全世界では年間300万人の人が結核のため死ん
でいます。(貧しいため、結核の薬を買えないので)
4・肺癌
咳とともに、血痰や胸の痛みがある場合があります。また早期の肺癌では症状の
ない事のほうが多いです。早期の肺癌は健康診断で発見される事が多く、症状が
出たときは一般的には手遅れの状態です。
5・肺気腫
喫煙者に多く、咳とともに労作時の息切れがあります。
最近多い原因!
最近多いのが、アレルギーによる咳です。熱が無く、レントゲンも正常なのに咳が続く場合は、アレルギーによる咳が考えられます。
日中よりも夜間に多く、咳で眠れないこともあります。これには、①咳喘息と②アトピー咳嗽の2種類あります。
以前は、喘息というとゼーゼーするのが特徴でしたが、最近はゼーゼーのない咳だけの「咳喘息」が増えています。
ゼーゼーする喘息は、肺機能検査をすると分かります。ゆっくり吸ったり吐いたりする肺活量は正常ですが、大きく吸っていっきに吐く量(1秒量)が低下します。
しかし、咳喘息では1秒量も正常なため、喘息かどうか決めるのが難しいです。咳喘息の場合、気管支拡張剤が効きます。一方アトピー咳嗽は、ハウスダストや花粉などアレルゲンによってアレルギー性の咳が続くのですが、気管支拡張剤が効かず、抗アレルギー剤が効きます。
この両者を区別するのは、咳喘息では3割がゼーゼーする喘息に移行するので、喘息の治療を長く続ける必要があるからです。アトピー咳嗽ではアレルゲンを突き止め、発生する季節のみ咳止めと抗アレルギー剤を服用するだけで良いです。
少ないながら、他に最近増えてきた原因として、逆流性食道炎に伴う咳があります。(胸やけを併せて起こる場合と、咳のみの場合があります。)逆流性食道炎の薬が良く効きます。咳が続くと体力を消耗させます。
原因を特定し、それに合った治療を受けましょう。