2003.12.24
サルコイドーシスは症状や胸部写真の陰影が結核と似ている病気で、例えば胸部写真では、結核は肺に陰影ができるとともに、肺門リンパ節が腫れますが、サルコイドーシスでも同様に腫れてきます。
ただ、結核では片方の肺門リンパ節の腫れが多いのに比べ、サルコイドーシスでは両方の肺門のリンパ節が腫れることが多いです。
また結核は その原因が結核菌の感染によるものですが、サルコイドーシスの原因はいまだに明らかではありません。
昔はサルコイドーシスという病気は若い男性に多く発病し、胸部写真で両方の肺門のリンパ節が腫れるだけで、症状もなく、何もしないでも、2年間ぐらいで自然に良くなる病気であり、放置しても良い病気だと考えられていました。
しかし、最近では、この病気は若い人からお年よりまで発病し、特に眼に病変をきたし、失明してまう可能性のある病気だということが分かってきました。
それだけでなく、心臓にこの病気ができると、不整脈や稀に突然死の原因となることもあり、注意が必要とされています。その他、神経にできると、精神異常や耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺の原因となることもあります。
またこの病気の経過は数年から数十年に及び、急速に悪くなったり良くなったりするものではない事が分かっています。
- この病気の診断は -
診断には、胸部写真と血液検査でのアンギオテンシン変換酵素の上昇、ツベルクリン反応が陰性化(結核では陽性になる)などの検査所見と、気管支鏡を使って、肺の中を洗浄して、細胞を調べたり、肺の一部を採ってきて、顕微鏡で調べる検査などをします。
- 治療は -
結核は抗結核剤を服用すれば、耐性菌でない限り半年位で完治しますが、この病気は原因不明であり、根本的なお薬はありません。
ただ「ステロイドホルモン」という薬があり、これにより、一時的には病状を軽くできます。
しかしこのお薬は長く使うと副作用もあり、気軽に誰でも使うという訳にはいきません。
へたに使うとかえって病状が悪化する場合もあります。
また結核の人に「ステロイドホルモン」を使うと、病気が急速に悪くなるので、この病気と結核の区別はしっかりしなくてはいけません。
また、侵された臓器により治療方法も違いますので、いつ、どのように「ステロイドホルモン」を使うか、まとめ役の主治医のもとで、いろんな科の先生たちと連携をとりながら、経過を診ていく必要があります。