2006.04.21
北海道新聞 平成17年4月19日(水)夕刊に掲載
今回は『慢性の乾性咳嗽(がいそう)』についてです!
◇◇◇ 長引く咳(せき)について ◇◇◇
咳が8週間以上続く場合を慢性咳嗽といい、原因として、気管支喘息(ぜんそく)、咳喘息、アトピー咳嗽、マイコプラズマ感染、クラミジア感染などが考えられます。
咳には大きく分けて、痰(たん)を伴う湿った咳の「湿性咳嗽」と乾いた咳の「乾性咳嗽」の2種類があります。原因疾患は、湿性咳嗽では副鼻腔(びくう)気管支症候群、慢性気管支炎など、乾性咳嗽の代表的なものが、気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽などです。最近は乾性咳嗽によって受診する人が増えています。
◇◇◇ 乾性咳嗽について ◇◇◇
ゼイゼイ、ヒューヒューなどの喘鳴(ぜんめい)および呼吸困難を伴い、肺機能で明らかに異常がみられる気管支喘息は、診断が容易にできます。しかし咳喘息やアトピー咳嗽は肺機能も正常です。咳喘息は喘鳴を伴わない咳です。多くの場合、風邪をひいた後、咳だけがずっと続くといった状態で発症します。夜間や明け方に咳き込むことが多く、体力的にもつらい病気です。
急に冷たい外気にあったり、タバコの煙などによっても咳が誘発されます。
咳喘息は、気管支喘息と同様に、気管・気管支が収縮するときに咳が出る病気ですから気管支拡張剤で咳が改善します。咳が続くというだけで、特有の所見がないため、なかなか診断が絞りきれませんが、気管支拡張剤が有効であればアトピー咳嗽、心因性咳嗽などと見分けることができます。
気管支喘息に移行することもあるので、適切な治療を受けましょう。
アトピー咳嗽も呼吸困難を伴わず、ハウスダストや花粉などアレルゲンを吸入することによって、アレルギー性の咳が続きます。気管支拡張剤が効かず、抗アレルギー剤がやや有効です。アレルゲンを突き止め、抗アレルギー剤を内服し、それでも効果不十分な場合は吸入ステロイド剤を吸入します。乾性咳嗽では、ほかに、逆流性食道炎に伴う咳と心因性咳嗽があります。それぞれ、逆流性食道炎の薬、精神安定剤が有効です。
夜間眠れないなど日常生活に支障を来したら、呼吸器の専門医を受診することをお勧めします。