2012.02.10
北海道新聞 平成24年1月25日夕刊
大道院長のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のお話が掲載されました。
◆COPDについて教えてください。
COPDは、日本語で「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患」と訳されます。
患者さんの数が増え、最近では新聞やテレビなどでも病名を目にするようになりました。
気道の空気の流れが慢性的に悪くなり、咳(せき)や痰(たん)、労作時の息切れが出てきて、最後は呼吸困難になる病気です。以前では、肺気腫や慢性気管支炎という病名で言われていましたが、それらの病気になってしまう過程や終末像として、COPDという病名が普及してきました。
COPDは肺の生活習慣病ともいえます。
初期には咳や痰、坂道や急いだ時の息切れといったありふれた症状で、ただ風邪が長引いているだとか、「年齢のせい」と思っていて、気付かないうちにゆっくりと症状が進行し、病院を受診した時にはかなり悪化しているというケースが多いのです。
また、それまで症状がなくても、風邪やインフルエンザなどの感染症がきっかけで咳,痰,呼吸困難の症状がつよく出てきて、はじめてCOPDをもっている事が分かることがあります。
またCOPDは冬に症状が悪化、夏には改善します。
病変は、肺胞と気道に起こります。
肺胞を仕切る壁である肺胞壁が壊れると、血管も壊れてしまい、ガス交換の効率が悪くなります。
肺の弾性力が減るので、息を吐く時に気管支を拡げる力が減り、空気の流れが悪くなります。一方、気道では炎症を繰り返すことで過剰に痰が分泌され、気管支の粘膜も厚くなり、気道を狭くし空気の流れを悪化させます。
◆COPDの患者が増えてきたのはなぜですか。
COPDの主な原因は喫煙や大気汚染ですが、日常の診療のイメージでは喫煙によるものがほとんどです。
喫煙による肺の障害は男性より女性でつよく、女性の喫煙率が高い北海道では女性患者が増加しています。
COPDは軽いうちであれば禁煙や気管支を拡げる薬の吸入や飲み薬での治療が可能ですが、症状が進めば呼吸困難のため日常の生活が困難になり,高濃度の酸素を吸入する「在宅酸素療法」などが必要になります。
咳や痰、労作時の息苦しさなどを感じたら、肺の機能検査を受けてください。早期に発見し、治療することが重要で、生活習慣病ですから治療は長期にわたります。
予防法は、何といっても禁煙です。
最近では病院でも禁煙を積極的にサポートしていますから、禁煙に失敗した人は、一度相談してみることをお勧めします。