2008.11.05
北海道新聞 平成20年10月22日(水)夕刊
大道院長の『百日咳(せき)』についてのお話が、掲載
されました!!
◇◇◇百日咳について◇◇◇
百日咳は細菌の一種である百日咳菌による感染症です。
患者の鼻咽頭や気道の分泌物とともに菌が飛散、飛沫感染または接触感染により拡大されますが、発症のメカニズムはよくわかっていません。
潜伏期間は通常7~10日、長くても3週間です。まず感冒様の症状が現れ、1~2週間後咳の回数が増え程度も強くなり、これをカタル期といいます。
次の痙咳期(けいがいき)では、短く連続的な咳き込み、
ヒューと音を立てながら息を吸い込む発作を繰り返します。咳がひどくなると嘔吐したり、肋骨を疲労骨折してしまうケースもあります。
発熱などはほとんど伴わないため重症感に乏しいのも特徴です。ひどい咳は2~3週間ほど持続し、徐々に改善しますが、散発的な咳発作が完全に改善するのに2~3ヵ月を要することも珍しくありません。
生後間もない乳児が罹患すると、特徴的な咳が発現しないまま無呼吸発作、チアノーゼ、けいれん、呼吸停止を招くほか、脳炎や肺炎といった合併症を引き起こすリスクが高くなります。
◇◇◇診断と治療について◇◇◇
咳発作は百日咳菌ばかりではなく、アデノウイルスやマイコプラズマ、クラミジア感染でも起こるため、確定するためには鼻咽頭や気道の分泌物を特殊な培地に植えて菌が検出されるか調べます。
しかし、菌を検出することができるのはカタル期後半のみで、咳がひどくなってから受診しても検出するのは不可能です。血液検査でも百日咳の抗体を調べることはできるのですが、1回の検査で抗体が高くても昔のワクチンのせいか以前かかった百日咳のせいか判断できません。
間隔をあけて2回以上の血液検査が必要です。
治療としては、カタル期ではマクロライド系の抗生物質がよく効きます。痙咳期では、抗生物質のみではあまり効果がなく、吸入ステロイドなどを一緒に使用します。
このため、咳喘息やアトピー咳、気管支喘息との区別が大変難しいです。
知らない間に菌をばらまくことのないように、特に乳児に接する人は症状に注意し、完治するまで通院するようにしましょう。